マンション理事長になった私

引き受けてくださいよ…… 無言の視線に負けてマンション理事長に #1

人生(LIFE)

会社員。愛読書は中国古典。好きなものはキャッシュレス、なつめチップス、ヤマト屋、ジェロントロジー、ポイ活。

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マンション理事長になった私 (第1回)

誰も引き受けたがらないマンション理事長。数年前の秋にあった総会で、みんなの「引き受けてくださいよ……」という無言の視線に負けてしまい、私が引き受けることに。

 分譲マンションを買い、引っ越したその日からあなたはマンション管理組合の組合員です。多くの居住者は「快適に住めればいいわ」と思う程度で理事会運営に興味はありません。でも快適に住むためには、自分が住んでいるマンションについて知る必要があります。

使用権と所有権の違いを知ろう

 マンションには所有権、使用権があります。所有権は自分の家、使用権は共有スペースを使用する権利のことです。混在しますと、間違いが起きやすくなります。

 所有権があるのはドアの内側から窓の内側まで、廊下、ベランダは使用権で共有スペースです。マンションによって共有スペースは異なりますが、ゴミ置き場、駐輪場、駐車場、共用庭なども共有スペース。この共有スペースの使い方について、組合員の意見を集めて話し合うのが理事会の仕事になります。

 ほとんどの管理組合では、各階から理事を選び、毎年か数年ごとに理事を輪番制で担当しているようです[1]。理事はマンションの所有者ですが、私が住んでいるマンションでは所有者の家族が理事になることも多いです。

 分譲マンションを所有していても住んでいない「不在居住者」もいます。たとえば、会社の所有物で社員が社員寮として住んでいる部屋、転勤などで他の場所に住んでいるので賃貸に出している部屋などです。賃貸の居住者は管理組合のメンバーに入りませんので、賃貸の居住者が多い階ほど役員の当番が早くまわってくる確率は高くなります。階によって世帯数が違うマンションもあります。空室の部屋も。世帯数の少ない階も役員が早くまわってくる確率が高いです。不公平だという声もありますが、仕方ありません。

(写真:PhotoAC)

 私が住んでいるマンションでは2年ごとの輪番制で隣の人から順番にまわり、年に1度の「通常総会」の後に理事を決めます。立候補して引き受ける人はほとんどいません。理事になる人は、どの仕事ならできるのか話し合いながら決めますが、くじ引きで決めることもあります。

 数年前の秋、誰も引き受けたがらない無言の雰囲気の中、みんなの「引き受けてくださいよ……」という視線に負けてしまったこと、もう夜10時をまわっていて眠かったこと、明日も仕事だから早く帰りたかった、このような理由で理事長を引き受けてしまいました。

 理事長になった途端、マンション内ですれ違う人から「本当にありがとうね」「いつもお世話になっています」と感謝されることが多くなりました。今まで40年以上生きてきて、これほど感謝されたことはないと思えるほどです。それほど皆さん、引き受けたくないんだと思います。

 この2年間は仕事をしながら家事をし、そして管理組合の仕事をしてとても疲れましたが、マンションについて知るいい機会でもありました。

 理事長の仕事は無給の長時間残業のようです。同じ人が続けると負担がかかります。同じ人が長い間権力を握り続けてはいけません。大きなお金が動く組織ですから風通しをよくするべきです。

 理事長になって思ったことは、人間関係が大変だったこと。マンションの居住者は家族構成、年齢など、さまざま。居住者全員が「管理費」というお金を負担して運営しているのですから、立場は平等なのです。居住者は誰でも意見を出す権利があります。上下関係がはっきり決まっている会社の人間関係の方がずっと楽だと思いました。

はじめてマンション理事長をする人へ

 管理会社、管理組合任せにせず、総会の会計報告書をチェックし、議案を読んで気になったことはどんどん質問しましょう。そして、少しでもマンション管理を知りたいと思ったら、市販の本がたくさんあります。マンションの集会室に管理費で年間購読している冊子があるかもしれません。ぜひ読んでみてください。

(次回:タバコが臭い、足音を注意して…… マンション理事長に集まる苦情や要望 #2


【脚注】

  1. 区分所有法では理事の任期が定められています。原則として2年。ただし、3年以内なら,規約で別段の期間を定めることができます。たとえば、任期を1年とすることはできますが、5年とすることはできません。再任することもできます。
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