夜の草原では2人の娘が、月明かりの下でお祈りしていました。すると、草原の向こうから、老いたトリケラトプスが現れました。
トリケラトプスは、娘たちのそばに立ち、娘たちを守るようにその大きな体で庇い、白い鳥を見守る白い竜の物語を語り始めました。
かつて、この草原に姫が住んでいました。その姫には、姉妹のように育った娘が仕えていました。ある夜、謀反を企む者が現れ、その者たちは姫を殺そうとしました。しかし、姫を庇った娘が斬り殺されてしまいました。
それ以来、草原には白い竜が現れるようになりました。姫を護るためのようです。しかし、姫もやがて命を落とし、夜空では二羽の白い鳥が飛び交うようになりました。(作・木村邦彦)