音楽

エディ・ヴァン・ヘイレンの登場、80年代の少年少女に与えた衝撃とは?

レビュー
木村 邦彦

法政大学文学部哲学科卒。記者、編集者。歴史、IT、金融、教育、スポーツなどのメディア運営に携わる。FP2級、宅建士。趣味はエアギターと絵画制作。コーヒー、競輪もこよなく愛す。執筆のご依頼募集中。

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 80年代にティーンエイジャーだった私が、当時のギターキッズがエディ・ヴァン・ヘイレンに何に衝撃を受けたか、お答えしましょう。それは、ライトハンド奏法による高速で生み出される華麗な音の粒だけではありません。

 70年代から80年代初頭にかけての音楽シーンを振り返ってみてください。KISSのように派手な白塗りメイクをしたアーティストや、オジー・オズボーンがステージで生きた動物をかみちぎる姿が話題を呼んでいました。音楽雑誌を開くと、ヘヴィメタルは怖い顔をした人々の写真であふれていました。日本では聖飢魔IIがその代表例です。

 このような背景から、80年代のティーンエイジャーの頭の中には以下のようなイメージがありました。

  • ヘヴィメタル = 白塗り
  • ハードロック = 白塗りではない

 ヘヴィメタルがダサいと感じられたのは、見た目だけではありませんでした。アルバムのタイトルも恐ろしさを醸し出していました。たとえば、KISSの『地獄への接吻』、アイアン・メイデンの『鋼鉄の処女』、スコーピオンズの『狂熱の蠍団』などです。

 ヴァン・ヘイレンのデビューアルバム『炎の導火線』(1978年)も、メタル感を漂わせる名前が付けられています。彼らのステージスタイルは、ピチピチのスパッツに上半身裸、図太い歪んだギターサウンドが特徴的です。しかし、エディ・ヴァン・ヘイレンは、ステージで生きた動物をかみちぎったり、デーモン小暮閣下のような歌舞伎役者風メイクをしたりしてはいませんでした。彼はギターの名手としての腕前を披露しながら、常に笑顔で走り回っていました。

 当時の少年少女はエディの流麗なプレイに聞き入り、次のように思ったのです。「笑顔でギターを弾いてもいいんだ」「上手ければそれでいいんだ」「メイクを勉強しなくてもいいんだ」「鳩やコウモリの生き血をすする必要はないんだ」と。

 つまり、エディ・ヴァン・ヘイレンは「顏」でヘヴィメタルの定義自体を変えてしまったのです。30年が経ち、当時の少年少女も大人になりました。今では、ヘヴィメタルと聞いて白塗りを思い浮かべる人も少なくなってきたようです。

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