AIならディープラーニングで「ならず者トレーダー」にならないか?

技術
木村 邦彦

法政大学文学部哲学科卒。記者、編集者。歴史、IT、金融、教育、スポーツなどのメディア運営に携わる。FP2級、宅建士。趣味はエアギターと絵画制作。コーヒー、競輪もこよなく愛す。執筆のご依頼募集中。

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このブログで、2月24日にご紹介した映画「マネー・トレーダー」を、今日、やっと観終えることができました。事件の顛末は、すでに知っていたのですけど、あまりにも重苦しい内容で、一日少しずつしか観進めることができませんでした。この映画を観ることはとても辛かったけれど、90年代当時の日経先物取引、裁定取引の風景を観ることができましたのは面白かったです。

イギリス最古の銀行だったベアリングス投資銀行は、当時28歳のならず者トレーダー、ニック・リーソンが犯した致命傷で倒産してしまった。しかし、いずれは倒産する運命であったのでしょう。経営者たちは、古き良き時代の雰囲気を身につけた「英国紳士」たちであり、悪く言えば古い体質から抜け出せない時代遅れな経営者たちでした。

緊張感をもって経営に挑む気概にかけていました。1986年にサッチャー政権化で行われた「ビックバン」も追い打ちをかけます。80年代から投資部門に活路を見いだし、90年代に入り、ニックが稼ぎ出す見せかけの利益に、経営能力と管理能力に乏しい経営者たちの目は曇ってしまったようです。不正チェックの貧弱なシステムも、この映画では随所に描かれています。

奇しくもニック・リーソン事件と同じ1995年、邦銀でも同様の事件が起きている。「大和銀行ニューヨーク支店巨額損失事件」です。UBSや三菱UFJモルガンでも巨額損失事件が起きている、同様の事件は繰り返されてきました。

近年では、AIがトレーダーとして、金融市場で活躍しやじめている。たとえばゴールドマンサックスでは、ニューヨーク本社では、2000年に株式トレーダーを600人のトレーダーを雇っていたけれど、現在では2人しかいないという[1] 。現在の取引市場の現場をこの眼で観たわけではないけれど、かつて喧噪にみつたトレーダーたちの仕事場はAIの活躍する場に置き換わっている。巨額損失事件は、これにて終止符となるのでしょうか?

最近の東芝の崩壊に観られるように、個人であれ法人であれ、隠蔽体質は傷を致命傷にまで至らしめることとに変わりありません。


【脚注】

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