日経新聞の読み方

紙の日本経済新聞から相場面がなくならない理由と活用法

人生(LIFE)
木村 邦彦

法政大学文学部哲学科卒。記者、編集者。歴史、IT、金融、教育、スポーツなどのメディア運営に携わる。FP2級、宅建士。趣味はエアギターと絵画制作。コーヒー、競輪もこよなく愛す。執筆のご依頼募集中。

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 2018年08月09日付の日経新聞は証券面が4面分(4ページ分)もあります。日経電子版、みんかぶ、Yahoo!ファイナンスなどネットで株価がリアルタイムにわかるのに、どうしていまだに紙の新聞には証券面があるのでしょうか。

 「斜め読みができるから」。教科書的なこの回答は、確かに当たっていると思います。でも、証券面の何を斜め読みすればよいのでしょう。

 毎日朝日読売の証券面と見比べますと、日経新聞ならではの「こだわり」に気づきます。頭(その面に載っている最初の銘柄)からお尻(最後の銘柄)まで、銘柄が増えようが減ろうが、必ず一面びっしりと詰まっていることです。一方、毎日朝日読売はお尻のところがたいてい余白になっていて、余裕をもたせています。この余裕をもたせた部分で、銘柄の増減を調整しているようです(これを編集用語でアキナリユキと呼びます)。

 この違いはとても面白いので、ぜひ見比べてみてください。日経新聞のこだわりを感じることができますよ。

 これは何を意味するのかと言いますと、日経新聞の証券面の見栄えで市場の動きを読み解けることです。一方、毎日朝日読売の証券面にはレイアウトの崩れという概念がそもそもありません。だから、紙面の見栄えから市場の動きは読み解けません。

 日経新聞証券面は1段あたりの文字数は変わりません。したがって、始値・高値・安値・終値・売買高の桁が大きくなった銘柄は2行になります。すると、全体の行が増えたり、減ったりします。紙面をじっと観察してみますと、見出しの大きさや全体の行数で調整しているようです。その結果、紙面全体で「白っぽいところと黒っぽいところ」が表れてきます。「その日ならではの見栄え」ができあがるのです。

 白っぽいところは2行になっているところです。(もしくは、その日の取引が成立しなかった銘柄。数字がないので「-」になっていて、これは1行になっています。この2行になっている銘柄に注目してみます。特徴は

  1. 人気がある
  2. 事件が起こっている

のいずれかです。特設注意銘柄だったころの東芝は、連日2行になっていました。思い返しますと、このときに私は投資ゲームの「トレダビ」で東芝株を大量に空売りをして遊んでいたものです。

 何か事件が起こると日経新聞の証券面は、レイアウトがぐちゃぐちゃになります。日経平均の前日比が1000円以上の開きあったときは顕著です。例えば、トランプショックのときは、前日の紙面と相当変わっているはずです。

 マネーゲーム、仕手筋に狙われた銘柄なども数千ある銘柄からわりにはやく見つけ出すことができます。業種別になっているので、その業界で何が起こっているのかも読み解けてきます。

 紙の証券面は天気図みたいなもので、視覚的に読み解く面白さがあります。他にも色ありますが、取りあえずこんなところで。

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