【『世界の名著』モンテーニュ「エセー」】含蓄のある言葉に触れたくて

学びと読書
木村 邦彦

法政大学文学部哲学科卒。記者、編集者。歴史、IT、金融、教育、スポーツなどのメディア運営に携わる。FP2級、宅建士。趣味はエアギターと絵画制作。コーヒー、競輪もこよなく愛す。執筆のご依頼募集中。

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モンテーニュさん(イラストも筆者)

受験参考書『人物で読み解くセンター倫理』は、大人が読んでも面白い哲学入門書です。このなかで、著者の蔭山克秀さんは次のように書いています。

「いい文章に出会えるって、それだけで幸せだよ」[1]

誰のことかと言えば、16世紀にフランスで活躍したモラリスト、モンテーニュさんのことです。含蓄があり、洞察力に満ちた彼の『エセー(随想録)』は現代フランスでも「知識人の教養書」として読み継がれているそうです。蔭山先生はモンテーニュの言葉をいくつか紹介しています。

「読者よ、私自身がこの書物の題材なのだ」

「精神は、何か自分を束縛するものに没頭させられないと、茫然たる想像の野原にだらしなく迷ってしまう」

「エピクロスは、富むことは厄介をなくすことではなく、別の厄介と取り替えることだ、と言った」

「我々はこう言う。「キケロはこう言った。これがプラトンの教えだ。これがアリストテレスの言葉だ」と。けれども、我々自身はどう言い、判断し、行動するのか」

「我々は他人の知識で物識りになれるが、少なくとも賢くなるには、我々自身の知恵によるしかない」

「人は自分の頭上に雹(ヒョウ)が降ると、全半球に嵐が吹きすさんでいるように感じる」

最後の一文を読んで、たしかに人生は困難の連続だと思いました。とは言いましても、宇宙の果てまで続いているわけではありません。しかし、もめごとのまっただなかにいるとき、私たちはこのことを思い出せなくなります。モンテーニュのエセーは、我に返るために、現代でも役立ちそうです。

さっそく読んでみたくなりました。ところが、新訳『エセー(随想録)』は7巻もあり、しかも1冊2000円近くもします。

全巻そろえるなら、1万円超えの予算が必要ではありませんか。今回は「世界の名著」シリーズにある「<19巻>モンテーニュ」の古本を、まず買うことにしました。1967年に出版されました「エセー」の抄録です。

本代が158円、送料が257円でした。届きましたら、彼の言葉を通して物事を考えてみようと思います。


【脚注】

  1. 蔭山克秀『人物で読み解くセンター倫理』学研教育出版,2014,P93
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