音楽の鎮痛剤

安眠できるアンビエント曲、ブライアン・イーノ【5選】

レビュー
木村 邦彦

法政大学文学部哲学科卒。記者、編集者。歴史、IT、金融、教育、スポーツなどのメディア運営に携わる。FP2級、宅建士。趣味はエアギターと絵画制作。コーヒー、競輪もこよなく愛す。執筆のご依頼募集中。

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安眠は健康の源。眠りへ誘われる「安眠ソング」を、独断で選びました。

第5位:Brian Eno:Discreet Music

温かみのある「こだま」は、テープエコーが生み出しています。

「Discreet Music」は1975年に発表された楽曲。ブライアン・イーノのアンビエント作品の産声です。1曲で30分ちかくもします。

第4位:Brian Eno & Harold Budd:Late October

全体を包むリバーブ音は、深い森を思わせます。迷いこんだ森のなかで、湖から飛び立つ鳥たちを眺めている心地になります。

「Late October」は、ブライアン・イーノとピアニストのハロルド・バッドによる共作です。アルバム「The Pearl」(1984年)に収められています。即興的な生ピアノのサウンドに、イーノが電子音で肉付けしています。

第3位:Brian Eno & Harold Budd:An Arc Of Doves

大地を駆け抜ける午後の風のような爽やかなサウンドです。

「An Arc Of Doves」は隠れた名曲です。イーノとハロルド・バッドとの共作「Plateaux of Mirror: Ambient」(1980年)所収。

第2位:Brian Eno:1/1

間を意識した、禅的で瞑想的な世界です。会話の邪魔にならない音域、会話のテンポに被らないリズムを配慮しています。

「Ambient 1: Music for Airports」(1978年)はブライアン・イーノの代表作。「家具としての音楽」を提案したエリック・サティへの、イーノからの返答です。実際にニューヨークのラガーディア空港のマリン・ターミナルでしばらくのあいだ流れていました[1]。ピアノは、元ソフトマシーンのロバート・ワイアットが担当しました。

第1位:Brian Eno:An Ending (Ascent)

Ascentは「上昇」や「昇天」という意味です。月から空を見上げると、私たちの住む地球があります。

重厚に重ねたサウンドは、神聖でおごそか。イーノ屈指の名曲です。NASAの要請で制作されたアポロ計画のドキュメンタリー映画「For All Mankind」で使用されました(1989年公開)。曲が流れるのは、月面に立った飛行士たちが地球へ帰還するシーンです。

全曲ブライアン・イーノだった理由

セレクトした安眠ソングはぜんぶ、ブライアン・イーノという結果でした。実は、iTunesで作った私の「寝落ち用プレイリスト」です。耳栓代わりに密閉式イヤフォンで小さな音量で聴いていると、たいてい寝落ちします。カセットテープ、CD-R、MP3プレーヤー。そして、iPhoneとガジェットを変えながら、十代から変わらないリストなのでした。

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【脚注】

  1. ライナノートより
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